本研究では、患者がチューブ類の自己抜去を起こす危険度を事前に評価し、適切な対応の選択を可能とする「自己抜去リスク・アセスメントシート」を、エビデンスに基づいて統計的な手法を用いて開発し、その有効性を検証することを目的としている。 平成19年度は、主にPubMedと医中誌を中心とした文献調査を行った。文献調査では、主に患者安全管理やエビデンス(実証データ)の収集で先行する欧米の研究成果をとりまとめ、チューブ類の自己抜去にかかわる情報を収集し、そのリスクファクターを洗い出す作業を行った。その過程において、自己抜去や事故抜去に係る各種のリスクファクターが列挙されたほか、リスクファクターはチューブの種類によって異なることや、各種チューブの自己抜去の発生率等の情報が得られた。気管内チューブの自己抜去に関する文献は100件を超えているほか、胃管や中心静脈カテーテル等の自己抜去に関する文献も比較的多いが、それ以外の種類のチューブ類の抜去に関する文献は少ない。したがって、引き続き情報収集を続け、情報を整理して行く必要がある。 文献調査で得られた情報から「自己抜去リスク・アセスメントシート」の試案を作成するにあたり、アセスメント対象のチューブの種類を特定する必要性が出てきたので、平成20年度以降の研究では、自己抜去および事故抜去の発生件数の多いチューブ、もしくは発生率の高いチューブに絞った自己抜去リスク・アセスメントシートを作成することを検討する。
|