研究概要 |
我が国では,1998年以降,毎年3万人を超える人が自殺により命を落としている。そのため,我が国では有効な自殺対策の実施が強く求められている。効率的で効果的な政策立案のためには,実証的な根拠(エビデンス)を構築する臨床研究が必要不可欠である。本研究は,自殺ハイリスク者を対象とする臨床研究でのリスクマネージメントにおける課題を検討し,我が国において自殺ハイリスク者を対象とする臨床研究ガイドラインを策定することを目的としている。本年度は,策定のために必要な問題点の俯瞰,そのための情報の収集,整理を行った。国内,国外の論文,報告書等をレビューし,研究の科学性,倫理性に関する系統的な情報の蓄積を行い,議論の整理を行った。またインタビュー調査に必要な議論すべき項目の抽出を行った。NIMH(米国,国立精神衛生研究所)が策定した「Issues to Consider Intervention Research with Persons at High Risk for Suicidality(自殺ハイリスク者への介入研究において考慮すべき問題点)」をNIMHから承諾のもと,日本語への翻訳作業を行った。治験を含む国内外での自殺ハイリスク者の臨床研究の実施状況を把握するため,Clinical.gov(米国),Controlled-trials.com(欧州),UMIN(日本)等の臨床試験データベースを用いて調査した。国内調査として,自殺対策研究を実際に行っている病院等を訪問,研究者に対してインタビュー調査を行い,日本の研究現場における課題等を調査した。また,国外調査として,スウエーデンのNASP(国立自殺予防研究所)を訪問し,スウエーデン国内および欧州での自殺予防および関連する研究の実態と課題についてインタビュー調査を行った。
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