研究課題
前年度はピレスロイド系殺虫剤の非職業的曝露レベルを把握するために、北海道Y町および愛知県S市で得られた一般生活集団の尿中ピレスロイド系殺虫剤代謝産物である3フェノキシ安息香酸(3-PBA)の測定をガスクロマトグラフ/質量分析計にて実施した。その結果、両群における尿中の3-PBAレベルに有意な差は見られなかった。また、諸外国での報告と比較しても、尿中の3PBAレベルは同等かそれ以下であった。本年度はこの結果を国際雑誌であるEnvironmental Researchに投稿・掲載受理された。東海地区における殺虫剤の散布を専門とする職域集団(PCO)を用いて、殺虫剤の職業的曝露レベルを把握する目的で尿中殺虫剤代謝物の測定を用いたバイオモニタリングを行った。その結果、コントロール群に比べて3日以内に殺虫剤を散布した群では有意に尿中殺虫剤代謝物が高値を示した。興味深いことに、PCOの中で殺虫剤を散布していない従業員(事務や営業職など)における尿中殺虫剤代謝物濃度は殺虫剤散布作業者に比べて低い値を示したが、コントロール群よりも高い値を示した。これは散布作業者と共有する場所での間接的曝露、あるいは殺虫剤散布溶液の調整・運搬等に発生すうものであると聞き取り調査から推察された。これらの結果より、殺虫剤を散布する作業者以外の従業員も殺虫剤曝露による健康リスクを考慮する必要があることが分かった。
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