本研究は、加齢黄斑変性症の有病率とそのリスク因子についての疫学研究を基盤とし、酸化ストレスマーカーの分析を実施するものである。Population-basedのサンプルにおいて、酸化ストレスマーカーと加齢黄斑変性症との関連を検討することを最終的な目的としている。 本年度については以下を実施した。 1. 測定法の確立:カラムスイッチング法を用いたHPLC-ECD法により血清中8-OHdGの測定系を確立した。 2. サンプル入手:研究フィールドである群馬県高崎市K町在住の65歳以上高齢者を対象とした多面的機能評価のための健診時に、静脈血を確保した。 3. 8-OHdGの測定:分析まで-80℃に保存した凍結血清を用い、2.4の対象者のうち187名に対してL1.で確立した系により8-OHdGを測定した。187名の内訳は、男性114名(平均年 齢76.2歳)、女性73名(75.6歳)であった。測定値の平均、標準偏差、中央値、範囲(pg/mL)はそれぞれ80.92、56.93、68.33、8.37〜418.41であった。年齢の上昇に伴い、女性では8-OHdGが増加していく傾向を認めたが、男性では明らかでなかった。 4. 関連解析:酸化ストレス曝露要因の代表としての喫煙と8-OHdG測定値の関連を検討した。なお女性はほとんど喫煙者がいなかったので解析は男性のみで行った。8-OHdG の中央値(pg/mL)は、非喫煙者69.83、過去喫煙者66.16、喫煙者71.66で、群間に差を認めなかった。
|