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2008 年度 実績報告書

水俣病被災地域の社会的環境と健康度に関する社会疫学研究

研究課題

研究課題/領域番号 19790412
研究機関福岡大学

研究代表者

牛島 佳代  福岡大学, 医学部, 助教 (10336191)

キーワード水俣病 / 健康度 / Well-being / ソーシャルキャピタル / 健康格差
研究概要

地域、医療、福祉、環境などさまざまな分野で社会的格差が問題となっており、その打開策として地域社会の凝集性やソーシャルキャピタルに関心が高まっている。社会疫学の分野では健康やWell-beingを増進するためには生活習慣、健康関連行動など従来からの個人レベルの要因に加えて、社会環境や地域社会といった社会集団レベルでの特徴や要因が重要であるとの認識から、ソーシャルキャピタルが注目されている。本研究では、公式確認から50年以上が経過した水俣病問題に焦点をあて、被災地域住民の健康度に関して社会疫学研究を実施した。
水俣病の特徴は、第1に、メチル水銀に汚染された魚介類を多食した個人のみならず、食を共にした「家族」や「地域」の全体に影響を及ぼした「集団の病気」であること、第2に、50年もの長期にわたって補償問題が続いたことに起因するさまざまな社会的要因がこの疾患の地域的分布のばらつきに影響していることにある。
平成19年度には、不知火海沿岸の3市3町(熊本県芦北町、津奈木町、水俣市、天草市御所浦町、鹿児島県出水市、長島町)の住民2,100名を対象に、地域社会のソーシャルキャピタルに関する郵送法による質問紙調査を実施した(有効回答1,228票)。平成20年度には、調査データの分析を進めた。その結果、地域の健康格差が認められ、健康度が低い地区は、第1に水俣病補償を受けた者の割合が多い、第2にソーシャルキャピタルが低下している、ことが確認された。地域の健康格差は、水俣病補償者数の増加によって生じた補償格差と地域社会のソーシャルキャピタルの低下が介在していると考えられた。今後、既存資料の検討、聞き取り調査の実施などを行い、公式確認から50年以上という時間的経過の中で、どのような場面において地域社会内部で補償格差が表出し、ソーシャルキャピタルの低下に結びついたのかについて明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 水俣病ステータス(MDstatus)-不知火海沿岸地域住民の健康度を規定する社会的要因-2009

    • 著者名/発表者名
      牛島佳代
    • 雑誌名

      保健医療社会学論集 20(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 不知火海沿岸地域住民の水俣病補償制度上の位置と日常生活動作能力との関連2008

    • 著者名/発表者名
      牛島佳代
    • 雑誌名

      日本衛生学雑誌 63

      ページ: 699-710

    • 査読あり
  • [学会発表] 不知火海沿岸地域住民の居住地域と自覚症状との関連2008

    • 著者名/発表者名
      牛島佳代
    • 学会等名
      第67回日本公衆衛生学会総会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-11-05

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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