研究概要 |
1990年と1993年から開始されているコホートにおける、質問票に回答した40歳以上70歳未満(調査開始時年齢)の男性約5万人を対象とし、追跡期間中に発症した前立腺がん罹患例とそれに対する適切な対照例を、年齢、居住地、採血年月日、採血時間、空腹時間をマッチングして選択し、コホート内症例対照研究を行った。2004年12月31日までの追跡期間中に前立腺がんを発症した201名の、コホート研究開始時の血液サンプルについて、血漿中イソフラボン類(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン、イコール)の値を測定し、その値と前立腺がん罹患との関連について解析を行った。その結果、各イソフラボンの濃度を3分位に分けた場合、ゲニステインの最も高い群(≧151,7ng/mL)の最も低い群(<57ng/mL)を基準としたときの、Odds ratio (OR)、及び、95% confidence interval (CI)は、0.66(0.40-1.08)であった。ダイゼインとの関連はみられなかったが、その代謝物であるイコールの最も高い群(≧15.0ng/mL)の、イコールを産生できない群を基準としたときのORは0.60(0.36-0.99)であった。また、病期別に解析を行ったところ、ゲニステインとイコールは限局前立腺がんに負の関連があった(最も低い群vs最も高い群のゲニステイン : OR=0.54, 95%CI=0.29-1.01、産生できない群vs最も高い群のイコール : OR=0.43, 95%CI=0.22-0.82)。進行前立腺がんは、いずれのイソフラボンとも統計学的有意な関連がみられなかった。本研究では、イソフラボンは限局前立腺がんリスクの低下に関連することが示唆された。
|