研究概要 |
ブラジルに居住する日系人を対象に、面接法により対象者個人の習慣的な食品・栄養素摂取量が把握できるように開発された食物摂取頻度調査票をもとに、ヘテロサイクリックアミン摂取量推定のための質問票の開発し、摂取量推定に必要な加熱食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースの作成が目的である。 ブラジルでよく用いられる調理法を用いて(パンフライ、グリル、シュラスコ)、3-4段階の焼き具合、マリネの有無、皮の有無などの条件別に、牛肉、豚肉、鶏肉、ハンバーグ、ソーセージ、イワシ、サケを調理し、1調理あたり3サンプルを分析に用いた。今年度は引き続き分析を行い、予定したサンプルの分析を終え、データベースを作成した。 PhIP、IQ、MeIQx、MeIQ、4,8-DiMeIQx、7,8-DiMeIQx、Trp-P-1の7項目を分析対象としたが、実際に検出されたのは、PhIP、MeIQx、4,8-DiMeIQxの3つであった。焼き具合別ではvery well-doneのサンプルのうち87-100%から検出され、mediumでは17-33%であった。どの値もよく焼くほど高くなり、特にvery well-doneで顕著に高かった。ヘテロサイクリックアミンの中ではMeIQx、4,8-DiMeIQxに比べてPhIPの値が高い傾向であった(最高値はマリネなしの鶏肉をシュラスコでvery well-doneに焼いたもので47.3ng/g)。調理法別ではパンフライ、グリルに比べシュラスコの値が高い傾向であった。また食材別に見ると、牛肉、豚肉、イワシ、サケに比べ鶏肉の値が高い傾向であった。さらに、焼き具合、調理法、食材によらず、マリネ無しに比べて有りでは値が顕著に低かった。 本研究により、加熱食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースが整備され、質問票により摂取量推定が可能となった。
|