研究概要 |
1.職業性心理的ストレスと不眠の関連を調べる前向きコホート研究 研究代表者は中高年(40〜65歳)労働者1,600名余を対象にした前向きコホート研究を行ってきた。本研究は、このデータを用い、職業性心理的ストレスへの曝露と不眠の関連を縦断的に明らかにすることを目的とした。職業性心理的ストレスと不眠の関連を調べた先行研究のほとんどは横断研究であり、因果関係の究明に限界がある。本研究は前向きコホート研究を行うことでこの2者の因果関係の解明に寄与する。 本年度は研究データを整備し、順次解析を実施した。仕事への過度の傾注(overcommitment to work)と不眠の関連、および、不眠の有症者は過去にも不眠を訴えている者が多いことについて学会発表を行った。 来年度以降も分析を進め、誌上および学会発表を行う予定である。 2.質問紙による不眠の判定の信頼性・妥当性の評価 大規模な疫学研究では不眠を質問紙にて評価することが多い。しかし、質問紙による不眠の評価の信頼性・妥当性は十分に検証されているとは言いがたい。本研究は、短期間に複数回行った不眠症状に関する自己申告内容の一致度、および、不眠の自覚・他覚所見の一致度を調べることで、質問紙による不眠の評価の信頼性・妥当性を明らかにすることを目的としている。 本年度は研究計画の作成、研究体制の整備、ならびにデータ収集を行った。研究計画は倫理審査にて承認された。睡眠解析ロガー(Mini-Mitter社製アクティウォッチ、アクティウェア解析ソフトウェア、アクティリーダー)等の必要な実験機材の購入も行った。現在まで10名余のデータを得ているが、引き続き対象者の募集を行い、次年度までに総計30名のデータ収集を行う計画としている。 次年度はデータの分析および紙上・学会発表を行う予定である。
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