研究概要 |
1.C型肝炎ウイルス(HCV)感染者における肝硬変の関連要因(横断研究) 大阪市立大学医学部附属病院肝胆膵内科外来で登録したHCV-RNA陽性者478人を対象に検討を行った。結果指標は,半定量的腹部超音波スコアにより診断した「肝硬変あり」とした。生活習慣等に関する情報は自記式質問票により収集し,臨床情報は診療録より転記した。ロジスティック回帰モデルにより,各要因のオッズ比(OR)を算出した。 1)鉄動態:本研究のデータベースに,鉄摂取量,血清鉄・フェリチン等の各数値を入力し,解析のための準備を完了した。詳細なデータ解析は平成20年度に行う。 2)コーヒー摂取「ほとんど飲まない」に対する「1日に1杯以上」の調整ORは0.43であり,統計学的に有意な低下を認めた。コーヒー飲料別に検討した結果,Drip coffeeでは同様に有意な負の関連を認めたが,instant coffeeやdecaffeinated coffeeでは関連を認めなかった。従って,コーヒーの成分のうち,カフェインが予防的に作用している可能性が示唆された。 3)性差:男性に対する女性の調整ORは0.52であり,統計学的に有意な低下を認めた。女性に限定した検討では,初潮から閉経までの年数が長いほど調整ORが低下し,傾向性も有意であった(TrendP:0.013)。過去の研究ではエストロゲンによる肝線維化予防効果が報告されており,内因性エストロゲン優位の状態が長期間続くことが予防的と考えられた(原著論文として投稿中)。 2.兵庫医科大学での調査開始のための基盤整備 本研究計画を当該施設の倫理委員会に申請し,平成20年1月に承認された。登録開始に向け,調査書式等の準備を行った。 3,追跡調査(コホート研究)実施のための基盤整備 大阪市立大学で登録済みの対象者の追跡調査実施に向け,調査書式,謝礼等の準備を行った。
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