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2008 年度 実績報告書

シンナー中毒者の肝毒性および肝障害の発生メカニズムに関する分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19790445
研究機関徳島大学

研究代表者

後藤田 貴子  徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50304506)

キーワード法医学 / 薬毒物 / トルエン / 肝毒性 / 肝線維化 / HepG 2 / P4502E1 / HSP70
研究概要

トルエンの慢性的吸入により, 肝臓に障害を引き起こすことが知られている. 本研究の目的は, シンナーを吸引する人における肝障害およびその発生機序を明らかにすることである. まず, トルエンの肝臓への直接的な影響を見るために, ヒト肝癌細胞(HepG 2)を, トルエン0, 0.1, 0.5, 1, 2.5, 5mMのトルエン存在下で, それぞれ24, 48, 72時間培養し, 生存数を計測した結果, 肝細胞の死滅を引き起こすようなトルエンの毒性は認められなかった. そこで, トルエン存在下で同様にHepG 2細胞を培養し, P4502E1とHSP70の免疫染色を行うことにより, トルエンの肝細胞に対する障害作用について検討した. P4502E1とHSP70の両方で, トルエン0.1mM, 24時間の処置により染色性の亢進が認められ, P450 2E1では, 1mM, 48時間と10mM, 72時間の処理において, HSP70では, 1mM, 72時間と10mM, 48時間および72時間において強い染色性の亢進が認められた. 次に, トルエン(1,500ppm)を1日当たり4時間, 7日間吸入させたラットの肝臓を用い, P4502E1, HSP-70と-90の免疫染色を行ったところ, トルエン吸入により染色性の亢進が認められた. また, トルエン吸入群の肝臓で, 肝線維化を示すα-SMAやcollagenの免疫染色性の亢進, シリウスレッドやアザン染色により線維化の発現, 肝線維化の発現に影響を及ぼすグルココルチコイドレセプター(GR)やレプチンレセプター(Ob-R)の免疫染色の亢進が認められた. 以上の結果から, トルエンが直接, 肝細胞の障害を引き起こし, 細胞障害の発生が, トルエンの濃度と暴露時間に影響される可能性が示唆された. さらに, トルエン吸入により肝線維化に影響を及ぼす因子であるGRやOb-Rが活性化することにより, 肝臓に線維化をもたらす可能性が示唆された.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Immunohistochemical studies on early stage of hepatic damage induced by subacute inhalation of toluene vapor in rats2009

    • 著者名/発表者名
      Takako Gotohda
    • 雑誌名

      The Journal of Applied Toxicology (In press)

    • 査読あり
  • [学会発表] Immunohistochemical studies on the induction of hepatic fibrosis by subacute inhalation of toluene vapor in rats2008

    • 著者名/発表者名
      Takako Gotohda
    • 学会等名
      7th International Symposium Advances in Legal Medicine
    • 発表場所
      Osaka Central Public Hall
    • 年月日
      2008-09-05

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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