本研究は抗体ファージライブラリーの構築を行い、抗薬物抗体スクリーニング用の抗原を用いて目的タンパクを発現するファージを選別、ついでそのエピトープ部位タシパクの発現遺伝子を解析するという手順に研究を実施するものである。そこで、本年度はまず目的ファージの選別を行うためのスクリーニング用抗原(目的薬物類似化合物)の作製を行った。 【スクリーニング用抗原の調製】 目的薬物としては、向精神薬の中で自殺に悪用される事例が多く、かつ簡易スクリーニングキットなどで検出できないフェノチアジン系薬物と、近年、睡眠導入薬として市販され、練炭自殺の際に共に悪用されている抗ヒスタミン薬ジフェンヒドラミンを選択した。 フェノチアジン系薬物に対しては、類似化合物である3-アミノ-10-メチルフェノチアジンの一級アミンとカルボキシル基を固相化された市販プレートに架橋試薬(EDC、GMBS)を利用して結合させた。また、ジフェンヒドラミンについては、類似化合物であるジフェニルメトキシ酢酸のカルボキシル基とアミノ基を固相化された市販プレートに架橋試薬を利用して結合させた。 現在、これらの固相化プレートへの各化合物の結合がスクリーニングを実施するに十分であるか確認作業を行っているが、プレートへのファージの非特異的吸着等も報告されているため、アミノ基やカルボキシル基結合磁性ビーズ等に薬物類似化合物を結合させる検討も実施予定である。また、薬物類似化合物とキャリアタンパクとの複合体も調製が可能であるかどうか検討中である。
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