研究計画に基づき、公募にて対象被験者の募集を行い、また東北大学病院外来通院中、入院中の患者に対してTAS-20にてアレキシサイミア傾向を有する健常対象者、および機能性消化管障害患者の対象者の抽出を行った。統計的な解析レベルまでには至らなかったが、機能性消化管障害患者、および心療内科通院者では比較高いアレキシサイミア傾向が認められた。PET検査の候補者に対して病歴、身体的、神経学的診察、ならびに患者群に対しては血液検査、尿検査等を試行してスクリーニングを行い、body perception questionnaire、 MMPI(ミネソタ多面人格テスト)、STAI(不安スケール)、SDS(抑うつスケール)、自覚ストレス検査の心理検査を施行し、心理面での評価を行った。数名に対し、圧トランスデューサーを装着したシリコンバルーンを被験者の大腸に留置し、トランスデューサーを携帯型内圧計、シリコンバルーンを圧インフレーターに接続、インフレーターによりバルーンを拡張して腸管に刺激を与え、内臓知覚を誘発した際の自覚評価をordinate scaleにより評価させた。その内数名に対してPET検査を試行したが、人数が少なく本年度は統計的解析レベルには至っていない。予備的実験の途中経過を第66回アメリカ心身医学会にて発表し、一部について過去の研究データと合わせて論文化した。また、本研究を将来的にロンドン大学の神経消化器病学研究所のアジズ教授、コーエン博士と共同研究として発展させるべく研究打ち合わせを行った。
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