平成20年度より、これまですでにfMRIを用いて消化管刺激により内臓感覚を誘発した際の脳機能画像研究を積極的に行っているロンドン大学、ウィンゲート研究所のアジズ教授と共同研究を開始した。平成20年度中に研究課題について得られた中間データを海外の学会で報告する予定であったが、研究に使用する予定の食道バルーン刺激装置が故障し、進行に遅れが生じたために20年度中には発表できず、学会参加旅費を繰り越した。平成21年度は、アジズ教授のグループとともにfMRIを用いた実験を終了させ、ロンドン、キングスカレッジ、ニューロイメージングセンターのブランマー統計学教授の指導をうけつつ、研究結果の解析を行った。32名の被験者における食道刺激により誘発した内臓知覚の脳処理過程の変化を、同様に、性格傾向、自律神経反応との関連の観点から解析し解析し、共同演者として、アメリカ消化器学会、神経消化器運動学会、ヨーロッパ消化器学会にて発表した。また、ASLによる静止時の脳血流状態の解析も行い、アレキシサイミア傾向、神経質傾向、外向性傾向などの個人的な性格傾向や男女差により静止時の脳血流状態が異なること、静止時の自律神経活動状態の個人差により脳血流状態が異なることが明らかにした。結果を第68回米国心身医学会で発表した。さらに同被験者において、共同演者として2009年度のまた、アレキシサイミアにおける意思決定機構、セロトニントランスポーター多形との関連を論文化して投稿した。
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