これまですでにfMRIを用いて消化管刺激により内臓感覚を誘発した際の脳機能画像研究を積極的に行っているロンドン大学、ウィンゲート研究所のアジズ教授と共同研究としてプロジェクトを進め、平成21年度は。アジズ教授のグループとともにfMRIを用いた実験を終了させ、ロンドン、キングスカレッジ、ニューロイメージングセンターのブランマー統計学教授の指導をうけつつ、研究結果の解析を行った。まず、arterial brain labeled(ASL)perfusionの解析を行った。fMRIを用いた脳機能画像解析は通常、バックグラウンドあるいはcontrol状態に比較して課題を施行しているときの変化分を扱うが、本来は、正常群と疾患群などの比較をする際には両群のresting状態の比較をしておくことが必要である。このresting状態を、MRIを用いた脳血流情報として提供できる手法がASLである。32名の解析を行い、アレキシサイミア傾向、神経質傾向、外向性傾向などの個人的な性格傾向や男女差により静止時の脳血流状態が異なることが明らかになり、また、静止時の自律神経活動状態の個人差により脳血流状態が異なることが明らかになった。結果を第68回米国心身医学会で発表した。さらに同被験者において食道刺激により誘発した内臓知覚の脳処理過程の変化を、同様に、性格傾向、自律神経反応との関連の観点から解析し、共同演者として2009年度のヨーロッパ消化器学会にて発表した。また、アレキシサイミアにおける意思決定機構、セロトニントランスポーター多形との関連を論文化して投稿した。
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