研究課題
本研究の目的は、摂食障害の発症や病態形成への関与が数多く報告されている食欲調節物質、特に、食欲促進系・抑制系に属する新規の食欲調節ペプチド(in vitroで食欲調節ペプチドや受容体の機能異常が確認されているもの)のSNPに注目し、病態、治療反応性、予後などとの関連を検討することである。平成19年度は、鹿児島大学病院心身医療科および関連医療機関(心療内科)にて入院治療を受けている摂食障害患者および一般公募により無作為に選ばれた健常者を対象として、面接調査(年齢、BMI、体脂肪量、病型、発症年齢、罹病期間など)、心理学的検査(EDI、BITE、YG、SDSなどの摂食行動や精神状態を評価するための検査)、摂食状況(痩せ願望、過食、排出行動に関しての調査)、生活歴などの調査を施行した。現段階では症例数が各群20例であり、遺伝子解析を進めていくためには今後更に症例数を増やしていく必要性がある。遺伝子解析のための検体収集と並行して、本研究を効率的に進めるためにも、平成19年度は、まず新たな候補となる食欲調節物質の摂食障害における代謝研究を行った。その結果、グレリンファミリーのひとつである血清オベスタチン濃度が急性期の神経性食欲不振症患者において上昇していることを見出した。オベスタチンの生理活性、特に摂食障害の病態における役割の解明に関して今後更なる究明が必要であると思われる。また、ショックやDICなどの致死性病態における炎症反応のlate mediator、および食欲調節物質(食欲抑制系)として近年注目されているHigh mobility group box 1(HMGB1)が、摂食障害においても、特に治療抵抗性において重要な役割を担っていることを解明した。次年度以降は、これらの食欲調節に関る候補物質を中心に遺伝子解析を進めていく予定である。
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