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2008 年度 実績報告書

香蘇散の抗うつ様作用メカニズム-脳内オレキシンと神経新生との関連性ー

研究課題

研究課題/領域番号 19790463
研究機関北里大学

研究代表者

伊藤 直樹  北里大学, 東洋医学総合研究所, 研究員 (00370164)

キーワード香蘇散 / 抗うつ様作用メカニズム / オレキシン / 神経新生
研究概要

本研究では、漢方薬「香蘇散」によって認められたorexin-A (OX-A) 発現の変化が、香蘇散の抗うつ様効果及び脳内神経新生促進作用にいかに関与しているかを明らかとするために、OX-Aの抗うつ様効果に対する関与及びその作用メカニズムを詳細に検討した。前年度の検討では、モデル動物を用いてOX-Aの単回脳室内投与で抗うつ様効果が認められ、その効果は海馬の神経前駆細胞の増殖促進作用を介した作用である可能性が示唆された。一方、本年度ではOX-Aの反復脳室内投与による効果を検討する予定であったが、前年度のOX-Aの単回脳室内投与で得られた結果を踏まえた上で、さらにその作用メカニズムの詳細を検討することの方が先決かつ重要であると判断し、引き続き研究を行った。以下に本年度で得たれた結果を示す。
・OX-Aの単回脳室内投与は、神経前駆細胞の分化過程には影響を与えなかった。
・ラット胎児脳由来神経前駆細胞を用いた初代培養実験において、OX-Aの直接添加による細胞増殖は認められなかった。またこの実験で用いた神経前駆細胞には、OX-Aの受容体であるOXR1のタンパク発現は認められなかった。
・OXR1阻害剤の前投与は、OX-A誘導抗うつ様効果及び海馬神経前駆細胞の増殖促進作用を完全にブロックした。
・抗うつ様効果及び神経前駆細胞の増殖促進作用を有するOX-A関連神経ペプチドneuropeptide Y(NPY)の海馬における陽性細胞数は、OX-Aの単回脳室内投与によって増加し、またその増加はOXR1阻害剤の前投与によって阻害された。
以上の結果から、OX-AはOXR1を介して抗うつ様効果及び神経前駆細胞の増殖促進作用を発揮しており、その作用メカニズムの一つとして、OX-AによるNPY神経系の調節作用が一部関与している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] I.c.v administration of orexin-A induces an antidepressive-like effect through hippocampal cell proliferation2008

    • 著者名/発表者名
      Ito N., et.al.
    • 雑誌名

      Neuroscience 157

      ページ: 720-732

    • 査読あり
  • [学会発表] Orexin Aの抗うつ様作用メカニズムの解析-Neuropeptide Yの関与-2008

    • 著者名/発表者名
      伊藤直樹
    • 学会等名
      第18回日本臨床精神神経薬理学会・第38回日本神経精神薬理学会合同年会
    • 発表場所
      品川
    • 年月日
      20081001-03

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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