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2007 年度 実績報告書

肝癌における癌幹細胞システムの成立・維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19790468
研究機関千葉大学

研究代表者

千葉 哲博  千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00381583)

キーワード癌幹細胞 / 肝臓癌 / フローサイトメトリー / 自己複製 / Bmil / SP細胞
研究概要

近年、白血病のみならず、乳癌や大腸癌などの固形腫瘍においても極少数の幹細胞が存在し、自己複製と限られた分化を繰り返しながら腫瘍構成細胞を供給し続ける『癌幹細胞システム』を形成することが明らかにされつつある。これらの細胞は、正常幹細胞における自己複製機構に類似した機構を保有し、発癌・再発過程に密接に関与すると考えられている。われわれは、幹細胞分離法の1つであるSide population(SP)細胞分離をヒト肝癌細胞に応用し、複数の細胞株において、全細胞数の1%にも満たないSP細胞画分が、癌幹細胞として機能することを報告している。さらに、造血、神経幹細胞などにおいて、自己複製分子として機能するポリコーム群遺伝子産物Bmi1が、肝癌のSP細胞において高発現しており、レンチウイルスを用いたノックダウンによって、その自己複製能と造腫瘍活性が顕著に低下することから、肝癌のSP細胞の維持においてBmi1が必須である可能性が示された。
一方、癌幹細胞は、「新たに癌を造る能力を持った細胞」であるが、その発症母地として「正常の組織幹細胞」である可能性が指摘されている。肝発癌においても、従来から卵形細胞(oval cell)などの幹・前駆細胞が発生母地となる可能性が示唆されてきたが、詳細は不明な点が多い。われわれは、フローサイトメトリーを用いて純化したマウス胎児肝臓由来の肝幹/前駆細胞に対して、Bmi1を強制発現すると過剰な自己複製が惹起され、逆にノックダウンするとリプレーティング活性が有意に抑制されることを報告している。さらに、Bmi1を強制発現した肝幹/前駆細胞を免疫不全マウスに移植すると、肝癌と胆管癌の2つの構成要素を併せ持つ腫瘍が形成されることから、幹・前駆細胞における自己複製制御異常が、重要な発癌イベントの1つであると考えられた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Enhanced self-renewal capability in hepatic stem/progenitor cells drives cancer initiation.2007

    • 著者名/発表者名
      Chiba T, et. al.
    • 雑誌名

      Gastroenterology 133

      ページ: 937-950

    • 査読あり
  • [学会発表] ポリコーム遺伝子産物Bmi1は肝癌細胞の腫瘍形成能維持に必須である2007

    • 著者名/発表者名
      千葉哲博
    • 学会等名
      第66回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2007-10-03

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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