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2007 年度 実績報告書

肝発癌におけるホスファチジルイノシトール3-キナーゼの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19790470
研究機関東京大学

研究代表者

田中 康雄  東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員 (40422290)

キーワードPI3K / PIK3CA / Akt / トランスジェニックマウス / 肝癌 / 脂肪性肝炎 / 変異解析
研究概要

アルブミンプロモーター下にホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の構成成分のひとつであるp110αの変異型が発現されるp110αトランスジェニックマウスを作成し、4、24週、52週、70週齢での肝組織像や生化学的データを検討した。4週齢で肝腫大と脂肪変性、ALTの上昇(ALT:59.6±6vs157±47 IU/L)を認めた。さらに52週齢では95%のマウスに腫瘍形成が認められ、病理学的には脂肪が腫瘍内に充満する腺腫であった。70週齢では全てのマウスに腫瘍形成を認めたが、肝癌の発生は5%程度しか認めなかった。PCNA染色ではp110αトランスジェニックマウスに肝細胞の増殖亢進が認められ(0.1±0.07%vs1.1±0.70%)、Akt, ERK, p38 MAPKのリン酸化が4週齢で認められた。PI3K-Aktシグナルを負に制御するPTEN(phosphatase and tensin homolog)の肝細胞特異的ノックアウトマウスでは、NASH類似病変から発癌をきたすことが報告されている。さらに乳腺特異的PTENノックアウトマウスでは乳癌が発生するものの、Aktを恒常発現させたトランスジェニックマウスでは腫瘍形成は認めないことが知られており、PTENのAkt非依存的な機能による癌化への関与が示唆されている。我々が樹立したp110αトランスジェニックマウスでは肝細胞特異的PTENノックアウトマウス同様、脂肪性肝炎、腫瘍形成をきたすものの、癌化の頻度は有意に低かった。Aktの恒常的活性化のみでは腫瘍の形質転換には不十分である可能性があり、PTENとp110αの肝発癌における役割が異なることが示唆された。
一方近年Akt1遺伝子に、大腸癌で約6.0%の遺伝子変異を認めることが報告され(Carpten, et. al. Nature 2007)、肝癌臨床検体での検討も行ったが変異は認めなかった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Absence of the AKT1 pleckstrin homology domain mutation in Japanese gastrnintestinal and liver cancer patients2008

    • 著者名/発表者名
      Yuqin Li, Yasuo Tanaka, et. al.
    • 雑誌名

      APMIS (掲載確定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hepatocyte-specific PIK3CA transgenic mice develop steatohepatitis and hepatocellular carcinomas2008

    • 著者名/発表者名
      Yotaro Kudo, Yasuo Tanaka, et. al.
    • 雑誌名

      In submission (掲載確定)

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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