研究概要 |
1.抗ウイルス剤に対する薬剤耐性において、その原因となる遺伝子領域がわかっているB型肝炎ウイルス(HBV)は、オーダーメイド治療を考えた場合に対策が立てやすい。我々はHBVの野生株,ラミブジン耐性株に対する薬剤の効果を簡便にin vitroスクリーニングできる系を確立しているが、患者血清から得られる臨床のHBVをクローニングし、耐性株のデータを収集、in vitro系で新規薬剤の効果検定を行なう計画である。 2.血清は抗ウイルス薬投与中・投与前のものを含め、50検体以上保存、順次クローニングを行っている。そのsequence確認の過程で、血液中にゲノムが少しずつ異なる複数のHBV株が存在すること(= quasispecies)が課題となった。臨床においても少数の薬剤耐性株が、多数を占める感受性株(すなわち野生株)に「マスク」され、抗ウイルス薬の使用→感受性株の減少→薬剤耐性株の顕在化が、報告されている。現在コマーシャルベースの検討では高ウイルス量且つ20-30%の変異株の存在がないと検出不能とされる。そのため、まず、dominant株の中からよりminorな株の検出感度を上げることの検討を行なった。 3.一番の問題となっているラミブジン耐性、いわゆるYMDD変異に関して短時間で検出できる系の確立を目的とした。YV(I)DDへの変異を検出するためには、過去にDirectSequencing、RFLP法、INNO-LiPA法などが報告されている。今回TaqMan-MGB probe assayを行なった。条件設定により、現在YVDDに関しては100コピー中に10%の存在、YIDDに関しては500コピー中に10%の存在の検出が可能となった。 4.4人の臨床検体を用い、同法の有用性をDirect Sequencing法と比較し、良好な結果が得られた。
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