研究概要 |
肝性悩症の病態を解明するための新規肝性脳症ラットモテルを開発した。アセトアミノフェン(APAP)と3メチルコンらセン(MC)を投与することで、肝障害および異常行動を示すことを示し、肝性脳症モデルテットとして有用である可能性を報告した。(Liver International 117-125,28,2008)本研究において、肝障害により、脳症(異常行動)が生じる機序として、ラットの脳における神経性アミノ酸の著明な増加および、アストロサイトの変化が関与していることが示された。これに関連して、臨床的に血清s100蛋白(アストロサイト特異的蛋白)が劇症肝炎患者の肝性脳症の有用なマーカーであることを示した。(Liver International 146-147,28,2008)この血清s100蛋白は、ApAPとMCを投与した肝性脳症ラットモデルで増加すること、また、劇症肝炎患者において増加することを確認した。これは、このモデルが、実際の劇症肝炎患者と同じ病態が生じている可能性を示ており、肝性脳症モデルとして適切かつ有用であることが示された。現在、重症肝炎患者において、劇症肝炎へ移行を高い精度で予測する単一のマーカーは存在しないため、そのマーカーの開発や、肝性脳症の推移などを予測するマーカーの開発等に、このラットモデルは極めて有用であると考えられる。
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