研究概要 |
我々は骨髄中に幹細胞が存在するならばどのような条件にて, 投与した骨髄細胞は分化するか, また骨髄細胞の投与によりレシピエントに与える効果についてマウスGFP/CCl_4モデル(骨髄細胞から肝細胞への分化・増殖評価モデル)を開発し, それを用いた基礎研究で検証してきた。しかし骨髄細胞中の肝細胞に分化増殖する間葉系細胞集団がどんな分画に存在し, どのような特徴を示すのか未だにはっきりわかっていない。そこで我々は新たにFEI社製透過型電子顕微鏡Tecnail 2BTを使用してGFP/CCl4モデルの肝組織中の微小環境内での骨髄細胞の動態を免疫電顕によって肝障害持続群と正常群と肝障害持続群+骨髄細胞投与群の三群の解析を行った。その結果、GFP抗体による免疫電顕によって今まで明らかに出来なかったGFP陽性骨髄由来細胞の定着, 分化の形態的変化, 肝細胞索構造の形成をとらえることができた。また骨髄細胞投与群では免疫電顕でマウス肝芽細胞marker/Liv2陽性細胞・Oval cell marker/A6陽性細胞・CD44/Liv8陽性細胞・MMP9陽性細胞・肝前癌病変marker/Maid陽性細胞など様々な細胞集団を免疫電顕で検出することができ, それぞれの細胞集団の特徴を電顕と蛍光二重・三重染色と総合して評価した。現在も解析継続中であるがLiv2陽性細胞集団は小型の細胞集団であり, 類円形のMMP9, Maid, Liv8等陽性細胞集団とは大きさ・形態の異なる細胞集団であることがわかり, 投与した骨髄細胞には二つの細胞集団が存在することが確認できた。またaSMAやMMP9抗体を使用した免疫電顕により肝星細胞を同定し, GFP陽性骨髄細胞との関連やMMP9の発現, 線維との関連を探究した。今後はGFP陽性骨髄細胞とこれらの細胞との関連を調べることで幹細胞の分化形態と特徴・癌化の接点を電顕レベルで評価することが可能と考える。
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