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2008 年度 実績報告書

肝細胞癌の進展における酸化ストレスの関与およびその分子生物学的メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19790491
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

西川 太一朗  京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (90433250)

キーワード肝細胞癌 / 酸化ストレス / テロメラーゼ / AKT / VEGF
研究概要

平成20年度の研究において、ヒト肝細胞癌検体を用いてhTERTおよびテロメラーゼ活性制御因子 (Akt、p53、c-myc、SIP1、Had1、TGF-β) 、抗酸化系酵素(SOD、GSH、TRX、GSH peroxidase、TRX peroxidase、catalase)の発現をISHで解析した。結果、酸化ストレスの増加に伴いhTERTの発現は増加していたが、テロメラーゼ活性制御因子・抗酸化系酵素については酸化ストレスの程度と関連して発現が有意に変化する因子は認められず、テロメラーゼ活性の増加および酸化ストレスが生じる機序については不明だった。次に、Akt、ERK1/2、JNKのテロメラーゼ活性増加につながるシグナル伝達系について、免疫組織染色を行い、その活性について検討した。結果、酸化ストレスの増加に伴い、肝細胞癌組織においてAkt活性が増加し、またAkt活性化の抑制因子であるPTENの発現が低下していることが明らかとなった。Aktの下流のシグナルには血管新生因子VEGFが報告されており、上記の結果をふまえて、次に肝細胞癌組織における酸化ストレスと血管新生の関連について検討を行った。肝細胞癌組織における新生血管についてはCD31の免疫組織染色を行い、画像解析により評価した。またVEGF、VEGF recep tor2の発現も免疫組織染色により評価した。結果、肝細胞癌組織において酸化ストレスの程度が強くなるに伴ってVEGFの発現が増加し、また新生血管の数も増加することが判明した。ヒト肝癌細胞株HLEを用いてさらに検討したところ、H202添加下の培養でHLE株でのAKTの活性化、およびその下流のNF-κB活性化、VEGFの発現増加が認められ、その効果は抗酸化剤NACの投与により打ち消されることが明らかとなった。以上より本研究は、肝細胞癌において酸化ストレスがAKTの活性化、それに続くテロメラーゼ活性化、血管新生の増加を介して、癌病態の悪性化に寄与していることを明らかにし、肝細胞癌の新たな治療として抗酸化療法の有用性について示した点で意義があったと考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Oxidative stress may enhance the malignant potential ofhuman hepatocellular carcinoma by telomerase activation2009

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa T, et.al.
    • 雑誌名

      Liver International (印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] 肝細胞癌における酸化ストレスとテロメア・テロメラーゼの検討2008

    • 著者名/発表者名
      西川太一朗
    • 学会等名
      第61回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      京都(国立京都国際会館アネックスホール)
    • 年月日
      2008-06-20

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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