特発性門脈圧亢進症動物モデルとして作成したconnective tissue growth factor (CTGF)組み換えアデノウイルス感染ラット肝組織における網羅的遺伝子発現の解析を行った。方法はAdenovirus Expression Vector Kitを用いて、human CTGFのcDNAをコスミドベクターのE1領域に導入することによりCTGF組み換えアデノウイルス(adeno-CTGF)を作成した。7週齢Wister系雄性ラットにadeno-CTGFおよび大腸菌のβ-galctosidase遺伝子を導入したコントロール用アデノウイルスベクターを静注し、経時的に肝組織を採取した。肝臓を凍結状態のまま十分過剰量のIsogenへ浸漬、ポリトロンホモジェナイザーを用いて破砕し、Total RNAを調製した。分光光度計を用いてRNA濃度を測定し、Agilent 2100 Bioanalyzerを用いたRNAクオリティチェックを行った。このRNAを用いた標準的1サイクル法によりcDNAを合成し、ビオチン化cRNAを合成した。これをGeneChip Array (Rat Ginome 2302.0 Array)へハイブリダイゼーションし、GeneChip 3000 ScamerによりArrayのスキャンを行い、画像データを所得した。GeneChipシステムに標準装備されているデータ解析システム"GCOS"を用いて、取得した各サンプルのArray画像データを数値抽出可能な形式のファイルへ変換した。取得したGeneChip数値データから、特定の生物学的現象に関連する遺伝子発現情報を抽出するために"Gene Ontology Database"を用いた。Adeno-CTGF投与3日目、7日目のGeneChip数値データに対し、adeno-LacZ投与3日目をコントロールとして比を求め、1.5以上を亢進、0.67以下を減衰とした。innammationに関する91遺伝子の発現は投与3日目では多くの遺伝子で亢進していたが、7日目では減衰していた。extracellular matdxに関する263遺伝子の発現は投与3日目、7日目共に多くの遺伝子で亢進していた。wound healingに関する8遺伝子、cell growthに関する83遺伝子、cell deathに関する23遺伝子は投与3日目、7日目共に大きな変動を認めなかった。
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