開発途上国を含めた世界中の国に普及が可能な、経済的で効果的な新しい肝炎ウイルスワクチンの開発を目的として、肝炎ウイルス特異的な免疫応答を誘導するために、針を使わない経皮免疫法の開発を検討した。細胞性免疫応答の主体である細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導を目的としたワクチンを開発するためにTLR7リガンドであるイミキモド(Imiquimod)をアジュバントとして用いて、CTLエピトープペプチドを経皮的に投与して免疫応答を誘導した。抗原特異的なCTLエピトープを認識することが出来るTCRトランスジェニックマウスを用いて、in vivo高感度アッセイ系を構築し経皮免疫法の条件を最適化した。肝炎ウイルスに対するTCRトランスジェニックマウスは利用できないため、モデルとして腫瘍抗原であるhgp100特異的CTL由来のTCRを持ったpmel-1マウスを用いた。pmel-1マウスの脾細胞をC57BL16マウスに移入したマウスを免疫に用いた。経皮ワクチンにヘルパーT細胞(Th)に対するエピトープペプチドを混和し、Thの活性化によるCTL誘導の増強効果を確認した。50mgのアルダラクリーム(Imiquimod; TLR7 ligand)に50μgのhgp100(CTL)ペプチドと50μgのPeptide-25(Th)ペプチドを混和して、マウスの皮膚に塗布した(経皮免疫)。5日後にマウスの脾臓を摘出し脾細胞中のpmel-1(CTL)の増殖、活性化をELISPOT法と細胞内サイトカイン染色法で定量的に検出した。経皮免疫法により、in vivoで効率よくCTLを活性化・増殖させることが可能であり、その効果はペプチドをパルスした樹状細胞免疫法に匹敵した。次年度は、この最適化された条件において肝炎ウイルスペプチドを用いて検討する予定である。
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