Vasohibin結合性低分子量蛋白SVBP (Small Vasohibin Binding Protein)の強制発現またはsiRNAによるノックダウンによって、Vasohibin蛋白の局在や分泌が変化するかどうかを調べた。その結果、内皮細胞では、通常多くのVasohibin蛋白が不溶画分(TritonX-100に不溶)にプールされるが、SVBPを強制発現した内皮細胞では、Vasohibinが可溶画分に溶出し易くなり、細胞外への分泌が促進された。逆に、SVBPをノックダウンした内皮細胞では、Vasohibinの不溶画分への集積が促進され、細胞外への分泌が抑制された。また、Vasohibinは内皮細胞の微小管蛋白α-tubulinの脱チロシン化を誘導し、その効果はSVBPによるVasohibinの分泌促進によって間接的に調節されることを見出した。加えて、SVBPに対するニワトリポリクローナル抗体を作製し、免疫沈降法にて培養内皮細胞内および培養液中においてSVBPとVasohibinの複合体を確認すると共に、免疫染色法にてSVBPが細胞内では頂端側(apical)に局在することを確認した。以上の結果からSVBPはVasohibinの細胞外への分泌を調整することで、Vasohibinの機能発現に重要な役割を果たすことが示唆された。一方、Vasohibin結合性膜蛋白質については、膜蛋白質の細胞質側の領域がVasohibinとの結合に重要であることが示唆された。
|