研究課題
昨年度は、SVBP(small Vasohibin bining protein)がVasohibinと複合体を形成し細胞外への分泌を促進することを明らかにした。本年度は、この分泌促進作用に加えて、SVBPが細胞内におけるVasohibin蛋白の安定化を亢進することを新たに見出した。プロテアソーム阻害剤MG-132を用いた解析結果から、Vasohibinは単独ではプロテアソームによる分解を受け易く、SVBPと共発現することによってプロテアソームによる分解を受けにくくなることが示唆された。また、VasohibinとSVBPは共にクラシカルな分泌シグナルを有さない蛋白であり、これらの分泌は細胞内蛋白輸送阻害剤Brefeldin Aの影響を受けなかったことから、小胞体-ゴルジ体の膜輸送を介さない未知の輸送経路を経て細胞外へ分泌されることが示唆された。さらに、Vasohibinによる内皮細胞の増殖抑制及び遊走抑制は、VasohibinとSVBPを同時に共発現することによって増強されることが確認された。以上の結果から、SVBPはVasohibinの蛋白質安定性と細胞外への分泌を調整し、Vasohibinの機能発現において重要な役割を果たすと考えられる。加えて、ノーザンプロット及びRT-PCRの結果から、VasohibinとSVBPはマウス成体内では、意外にも精巣において特に強く発現していることを新たに見出した。一方、Vasohibin結合性膜蛋白質については、siRNA導入によるノックダウンによって、Vasohibin刺激が惹起するαチューブリン脱チロシン化反応を部分的に阻害することから、Vasohibinの機能発現に関与する可能性が示唆された。
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The American Journal of Pathology (accepted for publication)
Blood (Epub ahead of print)
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