研究概要 |
家族性心房細動症例における原因遺伝子の検索を行うため、金沢大学病院を拠点として心房細動例の収集を行い、若年発症および家族性心房細動40症例を集積した。これら症例に対し、PCR-SSCP法によるスクリーニングおよびシークエンス決定を行った。2008年3月末の時点で、KCNQ1, KCNE1, KCNE2, KCNA5、KCNJ2、GJA5の遺伝子について解析を行ったところ、遺伝子変異は認められず、遺伝子多型D85N-KCNE1を1例に、G38S-KCNE1を2例に認めた。 肥大型心筋症患者において心房細動発症に関わっていると考えられる遺伝子多型の検討を行った。4種類の遺伝子(MYH7, MYBPC3, TNNT2, TNNI3)のいずれかに遺伝子変異を有する肥大型心筋症患者135症例に対し、RAS系の遺伝子多型(アンジオテンシン変換酵素挿入/欠失,ACE I/D;アンジオテンシノーゲンM235T, AGN M235T;アンジオテンシンIIタイプI受容体A/C1166, ATl A/C1166)の解析を行い、心房細動発症との関係について検討を行った。135症例中32症例(23%)に心房細動が発症していた。RASの代表的な遺伝子多型の頻度と心房細動の発症とには関連が認められなかったが、AT1 A/C多型のHCM患者はA/A多型の患者と比べてより早い時期に心房細動発症が認められた。
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