研究概要 |
家族性心房細動症例における原因遺伝子の検索を行うため、金沢大学病院を拠点として心房細動例の収集を行い、若年発症および家族性心房細動64症例を集積した。このうち13例に家族歴が認められた。これら症例に対し、PCR-SSCP法によるスクリーニングおよびシークエンス決定を行った。2008年3月末の時点で、KCNQ1, SCN5A, KCNE1, KCNE2, KCNA5、KCNJ2、GJA5の遺伝子について解析を行ったところ、SCN5A R986Q遺伝子変異を見出した。現在動物培養細胞を用いてパッチクランプ法による電気生理学的検討を行っている。 また、遺伝子変異が決定された肥大型心筋症患者134人を対象として遺伝子変異と心房細動発症の関係を検討したところ、32人(24%)に心房細動の発症が認められ、ロジスティック回帰分析により、左房径および年齢がその発症に関わっていた。また、カプランマイヤ-曲線により、トロポニン遺伝子(TNNT2, TNNI3)変異を有する患者はそれ以外の遺伝子(MYH7, MYBPC3)変異を有する患者と比較してより早い時期に心房細動発症が認められた。
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