研究課題
胎生期の心外膜細胞に発現する遺伝子をスクリーニングすることにより多数の遺伝子を同定し、その中の1つである細胞外マトリックスタンパクCCN1に着目した。CCN1は胎生期および心筋障害時に発現が上昇する。われわれはCCN1が心筋細胞を酸化ストレスから保護することを明らかにした。心筋梗塞モデルラットにリコンビナントCCN1タンパクを徐放投与したところ心機能の改善が認められた。またCCN1を徐放投与した心臓組織を解析したところ血管新生の促進と線維化の抑制が認められ、さらにアポトーシスの抑制と、VEGF、HGFなどの血管新生に関与する遺伝子の発現上昇が認められた。またKi67陽性心筋細胞の増加が認められた。CCN1はCD34陽性細胞の接着に関与しているとの報告もあり、心筋梗塞後にCCN1がCD34を介した血管新生や心筋の再生に関与している可能性が考えられ、現在これらのメカニズムについて探索を行っている。またCCN1は血管平滑筋細胞の増殖を促進し、ラットバルーン障害モデルにおいて新生内膜の肥厚に関与していると考えられ、CCN1をノックダウンすることによりバルーン障害モデルラットにおいて新生内膜肥厚が抑制されることを見出した。またCCN1とそのファミリー遺伝子は胎児期の心外膜に発現し心筋細胞の分化増殖に関与している可能性があり、ES/iPS細胞から心筋細胞への分化過程におけるこれらの遺伝子の発現について解析を行っている。
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Atherosclerosis
Arteriosclerosis, Thrombosis & Vascular Biology 28(6)
ページ: 1077-1083
http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/rc02/ymhp2009/