研究概要 |
1)日本人治療抵抗性高血圧患者群の特徴づけ:まずはパイロットとして、治療抵抗性高血圧を有し、かっ明らかな肺うっ血の既往のない患者数の認識を行うべく、調査を開始した。2007年5月から2008年3月までの期間で、新規受診患者として当科受診または入院し上記の条件を満たすものは8名のみであった。更にはうち3名は腎血管性高血圧患者であった。降圧治療についても十分な(殊にACE阻害薬やARBの)処方がなされていない、服薬コンプライアンスが不十分など、実際のEnrollに至る条件を満たすものが皆無であった。 2)エコーを用いた血管内皮機能評価(血流依存性の血管拡張反応,FMD:Flow mediated vasodilation-心血管病変の予後規定因子とされる血管内皮機能の一指標)を行えるべく、健常人ボランティアにてエコー技師のトレーニングを行った。 3)アメリカ人患者群における治療抵抗性高血圧新規受診患者の前向き研究結果の-部は、下記の論文及び学会発表の形で公表した。治療抵抗性高血圧患者においては、十分なACE阻害薬もしくはARB投与下でも高アルドステロン血症を示す患者群においては、高アルドステロンを示さない群に比し、 -i)外来での血圧は同様であっても、24時間血圧は有意に高い(J.Hypertens2007)。 -ii)-日尿中タンパク排泄量が多く、またその排泄量は高アルドステロン群においてのみ、食塩摂取量に依存する(Hypertens2008)〜以上の中間結果を得、今年度の日本国内における被験者Enrollのための条件再設定を行う必要があると再認識している。関連病院外来への協力依頼などを検討中である。
|