研究概要 |
I. 培養血管平滑筋細胞および単離大動脈を用いた解析 apelinによる血管収縮のメカニズムを初めて明らかにした(Artehoscler Thromb Vasc Biol., 2006)。さらにapelin刺激は、酸化ストレスマーカーの遺伝子発現を増加させ、apelin刺激によるVSMC増殖は、酸化ストレス抑制薬によって抑制された(AmJ Pathol, 2007)。 II. APJ受容体遺伝子欠損マウスの解析 APJ受容体遺伝子欠損マウス(APJ-/-)を作製し解析を行った。本マウスではapelin投与後の血圧低下が観察されず、angiotensin II感受性が亢進していた(JBio1. CLem, 2004)。さらに本マウヌを動脈硬化症モデルマウスであるapoE-遺伝子欠損マヴヌ(aDoE-/-)と交配してAPJとapoEが共に欠損しているダブルノックアウトマウス(APJ-/-apoE-/-)を作製し、動脈硬化病変の形成について検討しだ。APJ-/-apoE-/-ではapoE-/-に比して動脈硬化病変が小さぐ、酸化ストレスも減弱していた(Am JPathol, 2007)。 以上より、apelm-APJ刺激は、直接的に酸化ストレス刺激作用を持ち、動脈硬化促進作用をもつことが判明した。 III. 平滑筋特異的APJ受容体遺伝子過剰発現マウスの作製(未発表) 平滑筋特異的であるsmooth muscle α-actin promoterとAPJ受容体遺伝子を融合したトランスジーンを構築し、平滑筋特異的APJ受容体遺伝子過剰発現マウスを作製した。本マウスでは、apelin投与によって、一過性の血圧上昇が認められた。動脈硬化症への関与について解析中である。 なお、マウズ犬動脈血管平滑筋組織のmRNA解析のため、申請時は予定していなかったサンプル破砕機が必要となった。
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