本研究はgap junctionの異常が心房筋の電気生理学的所見に影響して心房細動の発生・維持に関与することに注目し、膜電位イメージング法とシミュレーション解析を用いてagingに伴う心房細動の発生・持続メカニズムを解明することを目的としている。本研究年度はまず正常な自動拍動の発生と興奮伝播のイメージングに対するgap junctionを介した細胞間の相互作用について検討を行った。具体的には摘出したウサギ洞房結節標本を膜電位色素で染色し、自動拍動の発生や興奮伝播のイメージングと膜電位色素による活動電位波形の相互関係の検討やgap junction channel作用薬の検討、またシミュレーションにて実験結果の検証を行った。これらの研究内容は2008年3月の日本生理学会にて発表し、現在論文投稿中である。現在は正常な自動拍動発生とその興奮伝播に対するagingの影響について、若年ラットと老年ラットを用いて検討中である。 次年度は正常な自動拍動発生と興奮伝播に対するagingの検討に加えて、心房高頻度ペーシングに対する心房細動誘発頻度を若年ラットと老年ラットで比較し、またgap junction作用薬前投与による誘発頻度の変化等を検討する。これらに差異を認めた場合はgap junction channelのmRNA発現量についてサブタイプを考慮して比較・検討を行う。
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