特発性間質性肺炎/肺線維症におけるthrombospondin-1(TSP-1)の関与を明らかにする目的で、特発性肺線維症(IPF)、非特異型間質性肺炎(NSIP)、sarcoidosis、健常人の血清および気管支肺胞洗浄液を用いてTSP-1濃度をELISA法にて測定した。血清TSP-1濃度は間質性肺炎群でsarcoidosisおよび健常者よりも有意に高値を呈し、気管支肺胞洗浄液中のTSP-1濃度は間質性肺炎群で有意に低値を示した。血清TSP-1濃度は同VEGF濃度と優位に相関しており、本疾患の病態におけるTSP-1の重要性が示された。さらに患者肺組織におけるTSP-1の局在を免疫組織化学的検討により確認し、再生肺胞上皮細胞および肺胞マクロファージの重要性が示唆された。以上の内容を学会で報告し、先日英国誌のRespiratory medicineにアクセプトされた。 現在TSP-1に対するsiRNA(short interfering RNA)を用いた実験に取り組んでおり、肺細胞におけるTSP-1産生能が抑制されることをin vitroで確認し、肺線維症動物モデルでの線維化抑制効果を、次年度に明らかにする予定である。
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