肺再生因子の胸腔内投与の肺再生効果の検討のために、まず肺再生因子であるHGFの胸腔内投与の用量依存性効果についての検討を行った。C57BL6JマウスにHGF50ngまたは100ngを25μ1の生食に希釈して左胸腔内に注入した。また対照として、生食25μ1を左胸腔内に注入した。Brduを腹腔内投与後、HGF投与24時間後、48時間後に20cm水柱で肺をホルマリン拡張固定した。ホルマリン固定後、パラフィン包埋し3μmの肺組織切片を作成した。その組織切片を用いて、Brdu免疫染色を施行した。 HGF50ng24時間群、HGF50ng48時間群、生食24時間群、生食48時間群の4群において各n=4にて、顕微鏡下400倍にて胸膜細胞と肺胞紳胞を全500個カウントし、Brdu陽性細胞の割合を算出した。その結果、HGF投与後24時間後のBrdU陽性肺胞細胞はHGF群と生食群では差を認めなかったが、BrdU陽性胸膜細胞はHGF群で対照群より上昇していた。また、HGF50ng群とHGF100ng群の両群間では差は認められなかった。BudUは増殖細胞に陽性となるため、陽性細胞の増加は細胞増殖の促進が生じたと推測できる。これらの結果からHGF50ngの胸腔内投与は24時間後の胸膜め増殖を促進することがわかった。近年、胸膜側からの肺胞再生の可能性を示唆する報告もあり、時間経過により肺胞の再生の可能性も期待できると考えられた。以上より、HGFの投与量は50ng/bodyとして、現在肺気腫モデルマウスと肺線維症モデルマウスを作成し、HGFを左胸腔内に注入する実験を施行している。
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