近年、ゲフィチニブが著効した肺癌患者の癌組織におけるEGFRの遺伝子配列に変異の存在が明らかにされ、ゲフィチニブの奏効率とEGFR遺伝子変異に関連があることが報告された。これらの遺伝子解析は臨床上有益であり、肺癌治療におけるオーダーメイド治療の実現にも貢献すると考えられる。今回の研究は肺癌患者血清よりEGFR由来抗ペプチド抗体の検出を行い、抗体測定することにより、遺伝子検索なしに、より迅速に、より簡便に遺伝子変異を検出することを目標とする。さらに抗EGFR由来抗ペプチド抗体でゲフィチニブ投与前に治療効果の予測が可能となれば、今後のオーダーメイド肺癌治療の実現に非常に意義があると思われる。平成19年度はゲフィチニブ投与を行った非小細胞肺癌患者40名の血清を採取、保存し、臨床データの解析を行った。また、その患者癌組織、細胞診におけるEGFRの遺伝子変異をPNA-Clamp法もしくはdirect sequence法により解析を行った。今後は、EGFRの遺伝子配列を基に作成した40種類のEGFR由来ペプチドを用いたマイクロサスペンジョンアレイ法を行い、抗EGFR由来ペプチド抗体の測定をおこない、その抗体価と臨床データ、EGFR遺伝子変異との関係を解析し、EGFR変異の検出もしくは治療効果予測可能なペプチドの同定を行う。今後のオーダーメイド肺癌治療の実現に非常に意義があると思われる。
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