COPDと間質性肺炎の原因にIFN-γ等のTh1型炎症性サイトカインとTh2型炎症性サイトカインが関与していると考えられてきた。一方、Eliasらによって肺でのTh2型炎症性サイトカインIL-13の一過性発現はマトリクスメタロプロテアーゼ(MMPs)やカテプシンを上昇させα1ATが低下し気腫化を誘導する、一方IL-3の持続的発現はTransgenic(TG)マウスに肺線維化、粘液過形成及び気道過敏性の亢進を誘導すると報告されている。これが"Dutch hypothesis"と考えられる。また、Th1サイトカインIFN-γがIL-18の存在下で誘導されるとMMPsやカテプシンを上昇させ分泌型白血球ペプチダーゼ阻害物質(secretory leukocyte peptidase inhibitor : SLPI)を抑制し肺胞破壊が起こり気腫化を誘導する。これが"British hypothesis"である。これらの結果からCOPDの原因にはTh1型とTh2型炎症性サイトカインの両方関与している可能性が高いが、いまだ機序は不明である。 我々は、恒常的発現肺特異的発現IL-18トランスジェニック(TG)マウスとテトラサイクリンで誘導される肺特異的発現IL-18TGマウスを報告した。前者は肺気腫が出来るにもかかわらず後者のTGマウスは間質性肺炎が誘導された。これらの結果よりIL-18の発現のタイミングや発現量で間質性肺炎と肺気腫が誘導されることが判明した。事実、間質性肺炎患者や重症COPDの肺病変部ではCD8陽性細胞が大量にIL-18を産生していた。
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