研究概要 |
本研究は、ラット第1染色体に存在する高血圧遺伝手の機能を解明するために、高血圧遺伝子の存在する領域を高血圧モデルラットSHRSPと対照ラットWKY間で入れかえた2種類のコンジェニックラット(SHRSPwch1.0, WKYpch1.0)を用いて、腎生理機能、とくに交感神経系による制御機構に当該染色体領域が与える影響について検討することを目的としている。前年度には、腎交感神経のdenervationが腎血管抵抗や腎尿細管機能にどのような影響を与え、それがコンジェニックラットでどのように異なるかの検討を行い、ラット第1染色体上の高血圧遺伝子存在領域には、交感神経による腎機能制御調節にかかわる遺伝子が存在することが明らかになった。今年度はこの成果を踏まえ、遺伝子の存在領域をさらに狭めることを目標に、同染色体領域を細かく分割して異なる領域を持つように作成した18種のコンジェニック系統(WKYをベースとする5系統とSHRSPをベースとする13系統)を用いて、寒冷ストレスに対する反応性の比較を開始した。これまでの検討で、6時間の寒冷ストレス下での尿中ノルアドレナリン排泄量が、いくつかのコンジェニック系統で異なる傾向をしめしている。中でも、長さが約3Mbpsのある領域では、WKYをベースにしたコンジェニック系統とSHRSPをベースにしたコンジェニック系統で対称的な反応を示しており、最も有望な領域と考えられる。現在、さらに数を増やして検討を行っているところである。
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