研究概要 |
骨粗鬆症や慢性腎臓病患者は、糖尿病性腎症の著しい増加や社会の高齢化により、年々増加の一途をたどっている。特に慢性腎臓病患者では、透析技術の進歩に伴い長期生存が可能となった。同時に、初めは問題とされなかった二次性副甲状腺機能亢進症などによりもたらされる骨合併症が新たに出現し、患者の予後を左右する重大な問題となっている。特に高リン血症は、副甲状腺細胞を刺激して副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を亢進させ、二次性副甲状腺機能亢進症の発症をもたらす。一方、一方では、小児、つまり成長が著しい時期に生体内でのリンが不足する疾患として遺伝性低リン血症性くる病/骨軟化症が知られている。本研究では高カルシウム尿を伴う低リン血症性くる病(HHRH)の原因遺伝子NPT2cの変異により引き起こされるクル病のメカニズムを明らかにすることを目的とし変異を有するノックインマウスの作製を行っている。機能異常または、局在異常が認められた。変異の中で、最も症状の強い変異を用いてベクターを構築、ES細胞(E14)にエレクトロポレーション法で導入、相同組替え細胞を選択し, ノックインマウス作製に入った。複数のラインを確認しているが、現在のところ変異Npt2cを有するマウスにおいてリン・カルシウム代謝に大きな異常は見られていない。つまり、Npt2c変異はドミナントネガティブ作用を示さないことが示唆された。マウスにおいては他の分子が中心となっている可能性があることが、理由と考えられる。
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