研究概要 |
本研究は、筋萎縮性側索硬化症に対するリハビリテーションと抗酸化物質の併用療法の確立を目的としている。そこで、我々は、筋萎縮性側索硬化症モデルマウス(G93ASOD-1/C57BL/6J)をJackson Laboratoryより購入し繁殖を開始した。また、同時にコントロール群として、C57BL/6Jマウスを国内ブリーダーより購入し実験を開始した。まず、基礎実験として、雄雌合計20匹運動療法群(5匹ずつ雄雌)と安静群(5匹ずつ雄雌)にわけ、運動療法群には、Kirkinezosらの方法に従い、マウス専用トレッドミル装置(MK-680S)を用いて、13m/min, 一日30分、週5日、4週間運動させた。そのマウスを24時間安静にしたのち、脳、脊髄を回収した。メタロチオネイン-I, II, IIIのmRNAをReal time PCRで測定したところ、雄、雌群では、安静群対し、運動群では、メタロチオネインの特定のアイソフォームがそれぞれ変動していることを発見した。(現在、Neuroscienceに投稿中) その一方で、我々は既にメタロチオネイン-I, III遺伝子組み換えアデノウイルスを作成し、ALSモデル動物め下肢筋に注射した。この組み換えアデノウイルスは、下肢筋から末梢神経を介し脊髄前角へ逆行輸送され、ALS動物の進行抑制効果をえつつある。最終年度は、この結果をより多数の動物を使い、普遍性を確かめたい。我々はこの研究で得られた知見を通し、筋萎縮性側索硬化症の運動療法、すなわち、リハビリテーションの科学的裏づけを明確にできるとともに、臨床へ還元できるものと考えている。
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