研究概要 |
異常リン酸化タウとアルドラーゼA, Cとの相互作用を解析することを本研究の目的とした 1) 免疫沈降反応を用いたリン酸化タウとアルドラーゼA, Cとの結合についての検討 アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、ピック病、FTDP-17、健常人凍結剖検脳から抗タウ抗体、抗リン酸化タウ抗体、抗アルドラーゼA, C抗体を用いて免疫沈降を行い免疫沈降物を解析した。アルドラーゼA, Cともに脱リン酸化タウよりリン酸化タウに結合することが分かった。特にアルツハイマー病由来のリン酸化タウと結合した。 2) 剖検脳、リン酸化タウ発現細胞でのアルドラーゼA, Cの局在の免疫組織化学による検討 タウオパチー、健常人剖検脳において抗タウ抗体、抗リン酸化タウ抗体、抗アルドラーゼA, C抗体による免疫組織染色を行ったが各疾患におけるアルドラーゼ局在に明らかな違いは認められなかった。 3) リン酸化タウのアルドラーゼA, C活性に与える影響 アルツハイマー病患者剖検脳より精製したリン酸化タウ、脱リン酸化タウ、アルブミンの存在下においてアルドラーゼA, Cの酵素活性を測定した。リン酸化タウによりアルドラーゼ酵素活性は低下した。1mMリン酸化タウでは1mM脱リン酸化タウに比し70%程度酵素活性が低下した {意義}本研究においてアルツハイマー病に存在するリン酸化タウにより解糖酵素アルドラーゼ活性が低下することが明らかになった。アルツハイマー病における神経細胞変性の原因の一つとしてアルドラーゼ活性低下によるエネルギー欠乏が推測された。
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