研究概要 |
I 短期間での血糖コントロールの是正による血小板のmicroaggregationの変化の解析 抗血小板剤変更例を除いた22名の結果は以下のようになった。年齢、糖尿病罹病期間、HbAlcの平均はそれぞれ59.2±11.3歳、10.7±8.8年、10.1±1.9%であった。約2週間の血糖コントロールにより、平均血糖は227.2±64.5から148.7±28.2mg/dlへ有意に改善した(p<0.0001)。PAC-1(凝集機能の指標)、CD62p(顆粒放出の指標)両抗体の陽性率は、それぞれ34.5±15.8から26.8±13.1%、21.7±18.3から11.7±6.2%へ有意に改善した(ともにp<0.05)。さらにPAC-1、CD62p両抗体陽性率の改善度は、是正前の平均血糖(p<0.05, r=0.482)やM値(p<0.05, r=0.430)、是正後のLDL値(p<0.05, r=0.515)と有意に相関した。また、pioglitazoneおよびRAS阻害剤内服の有無で検討すると、単剤および両剤内服群は非内服群に比し、両抗体陽性率の改善度が有意に大きかった(ともにp<0.05)。 II 血小板機能異常と糖尿病性血管合併症(網膜症・腎症・神経障害・大血管障害)との関連を検討 昨年度までの症例では、大血管障害の指標の一つであるankle brachial pressure index(ABI)とCD62p抗体の陽性率とに有意な相関関係を認めた(p<0.001)。本年度の症例を含め、解析予定である。 III 抗血小板剤による血小板機能の変化と下肢血流量改善との関連の解析 現時点で解析が終了した結果では、下肢MRI(2D-cine-PC法)での下肢血流量と血小板機能とに有意な相関関係は認めていない。
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