ミトコンドリアバイオジェネシスを調節する新規遺伝子の同定 インスリン抵抗性被検者ではミトコンドリア密度の低下があるにもかかわらずPGC-1とその下流分子のmRNA発現には低下を認めなかった。PGC-1以外の因子によってミトコンドリア密度が調節されている可能性が示唆された事から、DNA micro arrayを行いPGC-1以外のミトコンドリア関連遺伝子を検討し252遺伝子に有意な差を確認した。これらの遺伝子多くが機能未知である事から、培養細胞を用いて252遺伝子に対するsiRNAを行いミトコンドリアバイオジェネシスに関与する遺伝子をスクリーニングし4つの新規遺伝子を同定した。これら4遺伝子中でも特に候補遺伝子Aが我々の被検者の骨格筋においてもmRNAのみならず蛋白発現も約50%に低下しており、骨格筋培養細胞において候補遺伝子AをRNAiでノックダウンする事によりミトコンドリア密度の低下、ミトコンドリア蛋白の低下、ミトコンドリア機能の低下をきたす事が明らかとなった。これらの現象がin vivoでも再現されるかどうかを検討するために骨格筋特異的ノックアウトマウスを用いた検討を試みているが、出産数が少なく十分な検討が終わっていない。現在までのところ、n=5ではあるがノックアウトマウスでは電子顕微鏡で観察したミトコンドリア密度が低下していることから、候補遺伝子Aがin vivoでもミトコンドリアを調節している可能性を想定している。
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