研究概要 |
1.rIR-FLAG分泌タンパクの作成 血清中のインスリン様物質を,タンパク質間相互作用分析の手法を用いて検出するために,組換えインスリン受容体を作成した.FLAGエピトープタグを付けたインスリン受容体(rIR-FLAG)のcDNAを,BHK細胞株に,遺伝子導入用カチオン性脂質(Lipofectamine 2000; Invitrogen^R)を用いて遺伝子導入した.薬剤選択にて増殖が得られたコロニーをピックアップし,培養上清中のrIR-FLAGの発現を確認しながら継代し,安定発現クローンを得た.最終的に,rIR-FLAGが培養上清中にmg/Lのオーダーで分泌される安定発現細胞株を得ることができた.rIR-FLAG安定発現BHK細胞を,血清フリーの培地(DMEM)で24時間以上インキュベーションし,上清を回収,100倍に濃縮し,rIR-FLAGタンパクとして-80℃で保存した. 2.タンパク質間相互作用分析 予備実験として,rIR-FLAGとインスリンによる免疫共沈降(Co-immunoprecipitation; Co-IP)を検討した.インスリンをrIR-FLAGと抗FLAG M2抗体(Sigma^R)でCo-IPし,ウエスタンブロットにて最終産物におけるインスリンの確認作業を行うものであるが,インスリンのバンドは得られなかった.この結果を踏まえて,Co-IP以外のタンパク質間相互作用分析(アフィニティークロマトグラフィー,ファー・ウエスタンブロット等)も加えて,血清中のインスリン様物質の検出に最適な分析方法を検討中である.また,野生型のヒトインスリン受容体を過剰発現したCHO-IR細胞の細胞可溶化物を作成したので,これをbaitとする予備実験も同時並行で行っていく.
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