研究課題
本年度は前年度に同定したAd4BP遺伝子の胎仔ライディッヒ細胞特異的エンハンサーのコア配列に結合する因子の同定を行った。コア配列をbaitとしたyeast-one-hybrid assayを行った結果、コア配列に存在するE-boxに結合する因子としてbHLH型転写因子であるTcf4を同定した。E-boxにはbHLH型転写因子がホモまたはヘテロダイマーとして結合することが知られている。そこで、Ad4BP遺伝子のエンハンサーに存在するE-boxに対して、Tcf4がホモダイマーで結合するのか、もしくは他のbHLH型転写因子とヘテロダイマーを形成して結合するのかという点に関して現在検討中である。また、今年度はクロマチン免疫沈降(ChIP)と次世代大規模塩基配列決定(Seq)を組み合わせたChIP-Seqにより得られたデータの解析手法の開発を行った。さらに、ChIP-Seqによるエンハンサー領域の同定を目的として、副腎皮質由来の培養細胞からAd4BP抗体およびRNA polymerasaeII抗体を用いてChIP-Seqを行い、開発したアプリケーションを用いて解析を行った。その結果、Ad4BP遺伝子のプロモーターよりもさらに上流の領域にRNA polymerasaeIIが高度に蓄積する領域(エンハンサー)が存在することが分かった。この領域の塩基配列は種を超えて高度に保存されており、またAd4BP自身も蓄積していることが分かった。この結果より、副腎皮質におけるAd4BP遺伝子の発現はポジティブフィードバックループによって制御されており、またその制御にはプロモーターより上流に存在するエンハンサーが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Sexual Development 2
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