研究概要 |
本研究の目的は,ステロイド骨疾患が骨細胞の機能不全によって起こるという抜説を証明し,これに基づいた新しい治療法開発の基盤を構築することである。具体的には,骨細胞でのみステロイドぶ働かなくしたマウスを作成し,これにステロイドを投与しても骨粗霧症が起こらないことを証明し,ステロイド骨粗鬆症における骨細胞の役割を明確にすることである。 19年度では,以下の結果を得た。グルココルチコイド受容体(GR)-floxマウス(German Cancer Research Center,Gunther Schutz博士から提供)と交配させるDMP1-Creマウスをテスターマウスと交配させ,骨細胞のみにおいてCreが発現することを確認した。加えて,予備的実験としてWTマウスに合成グルココルチコイドであるDexamethasoneを投与したのち,骨形態計測,マイクロCTによる3次元の骨微細構造を解析し,骨代謝マーカーを用いた生化学的解析,定量的PCRによる遺伝子発現解析,またマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子解析を行ない,骨細胞のアポトーシスを観察すること,破骨細胞と骨芽細胞の機能低下を見ることが出来た。また,GRとミネラロコルチコイド受容体(MR)の局在は骨ではかなり似通っているため,MRの阻害薬であるエプレレノンを投与したところ上のDexamethasoneを投与した時の結果まりも大きな機能低下が各細胞で見られた。したがって,MR-floxマウス(German Cancer Research Center,Gunther Schutz博士から提供)もDMP1-Creマウスと交配させることによってGRとMRの骨での働きの違いを示すことが出来ると考えている。
|