白血病の原因遺伝子として転写因子と考えられているEvi1を同定しており、機能解析を通して治療に貢献しようとしている。解析の過程で、Evi1が過剰にアセチル化されていることが判明し、アセチル化機構解明が白血病の治療につながると考え、以下の研究を行った。 1. 白血病細胞での内在性Evi1核内結合タンパク質の同定 Evi1内在性発現細胞であるAML1細胞(ヒト急性骨髄性白血病)の核からタンパク質を抽出した。抗Evi1抗体を用いてEvi1結合タンパク質を回収し、質量分析計による同定を行った。主要な結合タンパク質として4種類検出できたが、1種類のみ同定に成功した。293細胞で免疫染色を行ったところ、Evi1と結合タンパク質の共局在が検出できた。また、免疫沈降法によっても結合は確認できたことから、Evi1の核内結合タンパク質と考えられる。現在、白血病細胞でのEvi1と結合タンパク質の局在を確認中である。 2. Evi1アセチル化に対する結合タンパク質の影響 同定したEvi1結合タンパク質がEvi1のアセチル化に影響を及ぼすか調べた。これまでに564番目のlysineがアセチル化されることがその活性に重要であることが判明し、564Lysのアセチル化を認識する抗体も作製している。結合タンパク質によるEvi1の全アセチル化修飾の違いを調べたが差はなかった。次に、作成した564Lysアセチル化認識抗体により、結合タンパク質の564Lysのアセチル化への影響を調べたが差は検出できなかった。 まだ未同定のEvi1結合タンパク質があるので、質量分析計による同定を行っていく。
|