研究概要 |
マウス由来の培養細胞を用いHIF-1αタンパク質の低酸素による時間依存的安定化をウエスタンブロット法により確認した。また、これまでHIF-1αを安定化することが知られているFeキレート剤やCoCl2でも同様にHIF-1αタンパク質が時間依存的に安定化されることを確認した。さらに、HIF-1αを特異的にノックダウンすることが可能なsiRNAを合成し、amaxa biosystem社のNucleofectorを用いてtransfection後、ウエスタンブロット法を用いてその効率を検討した。最もノックダウン効率の良かったsiRNAの配列をもとにプラスミドによるsiRNA発現系を構築中である。このsiRNA発現系が構築でき次第、そのsiRNAのcharacterizationを行う(HIF-1α mRNAのノックダウン、 HIF-1αタンパク発現の抑制、標的遺伝子発現の抑制など)。また、HIF-1標的遺伝子の発現を定量的に検討するため、Real-time PCRシステムを導入し、VEGF、TGF-β、PAI-1などのHIF-1標的遺伝子発現の検討を行っている。さらに、構成的活性型HIF-1αとドミナント・ネガティブHIF-1αがマウス由来の細胞でも機能することをプラスミドを用いた発現系で確認した。現在、アデノウイルスを用いた発現系を構築中である。また、細胞の接着に重要なE-cadherherinの発現が低酸素により増強されることを見いだし、平成20年1月にカナダ・バンクーバーで行われたKeystone symposium(Molecula,Cellular,Physiologica1,and Pathogenic Responses to Hypoxia)で報告するとともに、低酸素応答性遺伝子発現調節機構の最新の知見やHIF-1を標的とした治療法開発などに関し国内外の研究者と情報交換を行った。
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