研究課題
ハチアレルギーマウスモデルを作成し、ハチ毒のアナフィラキシー反応における抗IgE抗体の有効性について、 in vivo およびin vitroに大別して解析した。In vivo;ハチアレルギーマウスモデルの作成において、8周令のBalb/cマウスにハチ毒エキス(Wasp; 10μg/ml)0.25mlをDay0およびDayl4に腹腔内注射(感作)し、Day27に抗IgE抗体10μg/匹。または対照として抗IgG抗体10μg/匹を腹腔内投与した。そして、Day28にWasp; 10μg/ml 0.25ml腹腔内投与前および投与30分後に体温測定と、血清のLTC4濃度を測定(EIA法)するために採血を行った。その結果、抗IgG抗体処置群ではWasp投与後の体温は投与前と比較し、有意(p<0.05)な低下(37.7±0.23 vs 37.2±0.36℃)を認めた。一方、抗IgE抗体処置群では、Wasp投与前および投与後の体温に変化(37.8±0.33 vs 37.8±0.23℃)は認められなかった。また、Wasp投与30分後の血清LTC4値は、抗IgG抗体処置群に比べ抗IgE抗体処置群で、有意(p<0.05)に抑制(180.7±10.5 vs 28.1±14.3pg/ml)された。In Vitro ; Waspで感作した抗IgG抗体または抗IgE抗体処置マウス脾細胞(1×10^6個/ml)において、Wasp(10μg/ml)で刺激・培養した。そひて、48時間後に培養上清中のサイトカイン(IL-4, IL-13, IFN-γ)産生量についてELISA法で解析した。その結果、抗IgE抗体処置群では抗IgG抗体処置群に比較し、IL-13産生の有意(p<0.05)な抑制(8.4±2.5 vs 18.2±4.8pg/ml)およびIFN-γ産生の有意(p<0.05)な促進(13.5±2.3 vs 6.5±3.8pg/ml)が認められた。一方、IL-4産生において、これらの抗体処置群間で有意な違いは認められなかった。これらの結果から、抗IgE抗体はハチアレルギーにおける全身アナフィラキシー反応を抑制し、更にLTC4分泌やTh2型サイトカインを抑制し、Th1型サイトカインを誘導することが考えられた。以上より、抗IgE抗体はハチアレルギーのアナフィラキシーの発症予防に有効であることが示唆された。
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Allergology International 59
ページ: 87-91
Dokkyo Journal of Medical Sciences 37
ページ: 31-34
Dokkyo Journal of Medical Sciences 37(In press)