自己免疫疾患の中では珍しい常染色体劣性遺伝の単一遺伝子疾患であるAPECED(自己免疫性多腺性内分泌不全症-カンジダ症-外胚葉性ジストロフィー)の原因遺伝子として同定された自己免疫調節遺伝子AIREは、組織特異的遺伝子の異所性発現を支配し、免疫学的寛容の成立に関与している。 細胞内でAire蛋白と結合している未知蛋白質を共免疫沈降法で解析するためにマウスAire発現プラスミドを作成した。マウス胸腺由来のTotal RNAを用いて1st cDNA合成を行い、RT-PCR法により増幅したAireのコーディング領域を含むPCR産物をp3xFLAG-CMV-7. 1ベクターにクローニングし、N末端側にFLAGタグが融合されたAire蛋白を発現するプラスミドを構築した(p3XFLAG/N-Aire)。また、N末端側にStreptavidinタグとCalmodulinタグを融合したAire蛋白を発現するプラスミドpNTAP-B/Aireも構築した。Aire^+細胞にp3xFLAG/N-Aireを形質転換し、約7割の細胞にAireが強制発現される形質転換試薬(FuGENE6、Roche)と最適条件を求めた。さらにウエスダンプロッティング法と免疫細胞化学染色法により、作成した抗マウスAire抗体がAire蛋白を検出している事を確認した。現在、共免疫沈降によりAire蛋白複合体を回収するための細胞溶解や抗体反応の最適条件を検討中である。またAireの発現をノックダウンしたAire^+細胞株(以下Aire^<+low>細胞株)を新たに16株樹立した。このAire^<+low>細胞においては、いくつかの末梢組織特異的遺伝子の転写量が減少していた。
|