研究課題
継続して検討してきた好酸球の核内受容体の機能解析、アレルギー性炎症の病態解析と評価に関する研究をすすめ、国内外に発表した。特に本研究課題の中心であるビタミンAの活性型誘導体であるレチノイン酸に関しては、国内外で学会発表を行うとともにJ Immunol誌に成果を発表した。この概要は、9-cis retinoic acid(9-cisRA)とall-trans retinoic acid(ATRA)が、好酸球生存に必須のサイトカインである1-5による作用とほぼ同等の著明なヒト好酸球生存延長作用を有することを明らかにし、これが主として核内受容体のRARを介していることを明らかにした。さらに、DNA microarrayにより網羅的に好酸球の遺伝子発現変化を解析した結果、約40の遺伝子を同定し、特に強い抑制が観察されたアポトーシスの実行分子caspase 3については、realtimePCR, 活性の測定を行った。その結果、caspase 3のmRNA発現と活性は9-cisRA、ATRAにより抑制されることがわかった。レチノイン酸(1μM)はIL-5(lng/ml)とほぼ同等までcaspase 3の活性を抑制しており、レチノイン酸はcaspase 3の発現と活性を抑制することで好酸球の生存延長効果を発揮すると考えられた。また、好酸球はATRA・9-cis RAにより、VEGF、M-CSF、MCP-1を産生していたが、生存延長効果に関与していなかった。これらの結果はビタミンA誘導体が生体内において好酸球の生存延長や機能発現に関与し、好酸球の恒常性維持やアレルギー性炎症の形成に寄与している可能性を示したものである。現在はマウス喘息モデルでの検討を進め、予備実験を終了しているほか、好酸球や他の炎症細胞での機能的な役割について検討を進めている。
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